加齢が原因の聴覚障害のことである。感音性難聴が多い。低音域の聴力
は保たれる一方、1kHz以上の高音域の聴力が障害されるという特徴があ
る。進行すると聴力は全周波数領域で低下する。原因は、感覚受容器のあ
る内耳の感覚細胞数の減少であると考えられている。大脳皮質にある聴覚
中枢の神経細胞数の減少も関与している可能性がある。つまり、内耳の蝸
牛の機能低下により音が聞こえにくくなり、また中枢神経の機能も落ちるの
で言葉の判断力も悪くなる。老人性難聴は治すことができないので、治療と
しては補聴器を用いるなど、低下した聴力を補うようにする。また、老人性
難聴は、男性の聴力損失の方が、女性よりもより大きいことが分かっており、
必ずしもすべてが老人性難聴だけではなく、他にも漫出性中耳炎、聴神経
腫瘍、騒音性難聴などの原因もある。加齢が進むほど、症状の個人差は大
きくなるため、難聴を伴う高齢者とのコミュニケーションでは、ゆっくり大きな
声で話すことは当然として注意する必要がある。