その基本的病変は、虚血性病変と出血性病変である。脳血管の閉塞で
虚血が続けば脳梗塞の過程が進み、脳の軟化が起こる。また、出血に
より、脳実質内に血腫をつくるものを脳出血、くも膜下腔に出血するもの
をくも膜下出血という。必ずしも発作で発症するわけではないが、急激な
脳の局所症状の出現する脳血管発作が基本的な症候群であり、よく知
られている脳卒中はその最たるものである。近年、高血圧症の治療の
進歩、塩分過剰摂取や動物性たんぱく質不足の改善、生活環境の向上
等により、脳卒中として発症することの多い脳出血が減少し、脳梗塞が
際立っている。血管不全による脳障害で、多くは突発的に発症し、脳障
害の部位、程度によりさまざまな神経症状を呈する。