座位保持の可能な場合は、オーバーテーブルを利用して両手を洗ったり、
ベッド上で寝具を濡らさない工夫をして身体の前部に湯の容器を置いて洗
う。座位保持が不可能な場合は、横向きになって片手ずつ洗う。つめ切り
は、手浴の後の行うこと。部分浴の一種で、ぬるめの湯に手を入れて暖め
た後、石鹸(洗剤)で洗い、次に湯の温度を少し高くして温める。タオルで水
分をふき取り、ベビーオイルやハンドクリームで肌を整える。手浴は、疾病
や障害によってセルフケアが困難になり、床上安静を余儀なくされている患
者に清潔ケアとして実施され、経験的には爽快感の得られる看護術の一
つに位置づけられている。また、手首まで浸かる洗面器やボウルに、熱め
のお湯(入浴時よりやや高めの温度)を注ぎ、精油を1~3滴落としてよくか
き混ぜ、手を10分位浸す。足浴のように手の自由がないので、精油の香り
を楽しみながら、手の平のツボを刺激したりする方法もある。慢性的な肩こ
り・頭痛持ちの者、緊張しやすい性格の者などにも有効な手段である。